2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

【君が死んだ___「水路」】

君と 夜 真言宗のお寺の 井戸のポンプを押してみたことがあった 水は出なかった枯れた水路 夜の闇 いきどまり「中途半端は嫌なんだ」 と言っていたね 刃、血、命死の世界を何度も見てた君 私は君と同じものなど見ることはできなかったんだと 今気づいてぎく…

【君が死んだ___「霊感」】

眠っていたら 突風が窓にぶつかったような ドスンという音がした そして 背中を叩かれた 侵入者かとみまわしたけれど 誰もいなかった また眠った 今度は アルトソプラノの女の声が 悲しく畏ろしいメロディーを 歌っていた ぞくっとして起き上がったら つけっ…

【詩 20111107 君が死んだ___「煙」 】

君のこと そのうち忘れてしまうよ 君はいったい 何者だったの そして私は 何者だろう 生にはりつめて 美しい君の体も 声も 黒い髪も 解けないパズルのような心も 明日には煙になってしまう 数ヶ月前に 君が言ったとおりだ 「この体も、いずれは煙になっちま…

【詩 20111107 君が死んだ】

君が死んだ 世界は君の分だけ 風通しがよくなり 砂埃が舞っているよ 秋晴れの空は遠すぎて目が眩む 涙の代わりに 祝福のキスを生きることは いいとかわるいとかではない まさかそんなはずがないだろう 涙がでそうになる 君の死にただ祝福を(亡くなった親し…

【詩 20111102】

朝 ドアを開けると 秋の冷たい香りがする 空に張りつめた薄い皮膜は 別世界とこちらの世界とを 隔てている 膜にはしる 一筋の光が ゆっくりとぼやける 水の記憶 鍵につけた鈴が鳴る チカチカと反射する朝の光の 秘密のモールス信号 空気の裂け目を風を切って…